パリへ行ってきた(5) シテ島~サンルイ島 | ホタル舞う夜の空

パリへ行ってきた(5) シテ島~サンルイ島

パリ発祥の地シテ島から、さらに橋を渡ってサンルイ島へ。



サン・ルイ島散策も、今回のパリ小旅行の大切な目的の一つだった。
ここ1年くらいで岸恵子のエッセイをほとんど全部読んだんだけど、その中で、彼女がサン・ルイ島にある由緒正しいアパートメントをようやく手に入れた話、苦労して手に入れたのに建築物がそりゃもう古いせいでトラブル続きな話、同じ建物にアパートメントを持つしたたかな隣人達の話、日曜日に新聞を片手に島のベンチへ出かけていく彼女が知り合ったホームレスのおじさんの話なんかが、実に生き生きとユーモアたっぷりに描写されているから。


著者: 岸 恵子
タイトル: 30年の物語

実際に歩いてみたサン・ルイ島は、古い建物が並ぶ感じの良い住宅地だったけど、一本だけ島を貫いている目抜き通りは観光客であふれ、想像していた「静かな」高級住宅街とはかけ離れていた。
パリの中心に位置して歴史ある街区だから、有名人もたくさんアパートメントを所有しているらしいけど、こんなに日本人も含めてたくさんの観光客が訪れるんじゃ、落ち着かないんじゃないですか、岸さん?



「君の名は」でスターの仲間入りをした岸恵子は、長崎で映画を撮るために来日していた医者で映画監督のイヴ・シアンピと恋をして、「雪国」の撮影が終わると、結婚するために仕事も祖国日本もすべてを投げ打って単独でフランスへ渡った。
この辺の情熱的で思い立ったら一直線なところが女優らしいと言うか、江戸っ子じゃなくて浜っ子気質なのかな。
それでもやっぱり日本が恋しく、フランスに長く居れば居るほど自分の中の日本人を意識してしまうという辺り、共感してしまう。
フランスで生まれ育った「フランス人」の娘との間にある隔たりが切ない。

彼女のエッセイの中では、映画女優としての出発、結婚、離婚から再出発などの話が無邪気ともいえる率直さで物語られている。とっても感性が鋭くって、頭でいろいろ考えるよりも肌で敏感に感じ取っていく人だということが伝わってくる。



著者: 岸 恵子
タイトル: 巴里の空はあかね雲

岸恵子が出演している昔の映画やドラマはまだ観たことがない。「君の名は」とか「雪国」とか、特に彼女の夫だったイヴ・シアンピが日本で撮ったという映画を是非観てみたい。