Solino (2002) | ホタル舞う夜の空

Solino (2002)

solino
監督:Fatih Akin、出演:Barnaby Metschurat(ジジ)、Moritz Bleibtreu(ジャンカルロ)、Antonella Attili(ローザ)

イタリアとドイツで撮影された映画。ドイツへ移民してきたイタリア人家族の物語。ひと時代前まで、ドイツで移民といえばイタリア人だった。そんなとあるイタリア系移民一家の様子を、現代の移民代表であるトルコ系移民の監督が描き出す。と、前置きするとものすごい社会派のような印象を与えてしまうかもしれないけど、映画自体は家族ひとりひとりの人生を追っていく、人間模様をざっくりと描いている。

イタリアの片田舎ソリノ(Solino)から、仕事を求め、裕福になることを夢見てドイツのルール工業地帯へと映って来たイタリア人の一家。しかし、父親は炭鉱で泥まみれになることに嫌気がさし数日で仕事を辞めてしまう。説得されて嫌々ながら故郷を離れついて来た妻は怒りを爆発させるが、いまさらイタリアにも戻れない。そして、食べていくために夫婦と子供二人の家族経営のイタリアレストランをオープンさせる。

ドイツの若手実力派代表のモーリッツ・ブライプトロイが、映画中盤で見事にArschloch(サイテー男)を演じ、鮮烈な印象を残す。兄に振り回され尻拭いをする羽目になるジジが、いい加減気の毒になってきて、嫌な後味を残しそうな雰囲気が漂ってくるが、ラストの締め方はユーモアが効いている。人間を描き出す温かい視線にほっとさせられる。やっぱり人間が愛しくなる。

http://www.german-cinema.de/archive/film_view.php?film_id=811