最近ツラツラと考えてること | ホタル舞う夜の空

最近ツラツラと考えてること

またしても一年が過ぎていく。
毎年のことなんだけど、年末になるたびに、落ち込む。
今年もまた成果が出なかったじゃないか、と、落ち込む。

いや、今日書こうと思っていたのはそんなことじゃなくって。
最近、ふとした瞬間に思考の中に分け入ってくる取り留めないことを、クリスマスでドタバタと動き回る前に整理しておこうと思って書き始めたら、ずいぶんと長くなってしまった。


私たちは、これからもずっと一緒に居たいと思っているから、仕事の話、住む場所の話、家を買いたいねなんて話もしている。

でも、トラちゃんはまだ日本に行ったことがなかった。
私の家族に会ったこともない。
だから、とにかく、一度日本に行かなきゃって思った。

私のルーツを知ってもらわなければならない。
私の古くからの友人達にも会ってもらわなければならない。

そうすることで、お互いの理解度が高まるはず。
私にとっても、彼にとっても、大切なのは、その点だった。

だから今回、トラちゃんと一緒に日本へ帰った。


日本に居る間に、長い付き合いの友人達と飲みに行った。
人を見る時に、その人の友人達って重要だと思う。
友人のタイプや友人との付き合い方っていうのは、自分と合うかどうかの重要なポイントになる。
だから私は純粋に、私の古くからのいい友人達をトラちゃんに紹介したかったし、友人達にもトラちゃんを紹介したかった。
それしか、考えてなかった。

飲み会もそろそろ中盤、場も和んで美味しい料理に箸も進んでって時に、一人の友人(女)がひどく率直な言葉を投げかけてきた。

「ねえ、結婚しないの?」

私たちがこれとって婚約の報告も、結婚の予定も話さないので不審に思ったらしい。
彼女は、彼を日本に連れてくるんだから、家族に挨拶をして、結婚の許しを得て、予定を決めることが目的だと思ったらしい。
それにしても、お互いに長い長い付き合いだけに、遠慮の無い単刀直入な質問だ。

「早く結婚しちゃいなよ♪」

この言葉に、私は一瞬、ひるんだ。
別に、結婚したくないわけじゃなくて、いずれはそうなるってお互いに思っているけど、それでもこの一言にはギョッとした。

ドイツで、こういう直接的な質問をされたことはない。
ものすごーく親しい仲でも、こういう聞き方はしないと思う。

私が滞在許可証の話をしている時に、

「ドイツ人と結婚すればいいじゃない」

なんて、冗談半分に言われることはある。


長く付き合って同居している恋人のいる同僚も、2頭目の犬をもらってきた時に、

「犬じゃなくて、人間の家族を増やしたら?」

なんて、からかわれていた。


でも、その程度。


結婚っていう事は、ものすごーくプライベートなことで、それぞれに色々な事情があるから、簡単には踏み入れない、っていうのもあるだろうし、

ドイツでは未婚のまま子供も生まれて家族になるカップルも少なくないから、結婚自体の社会における意味合いが薄れている、っていうのもあると思う。


話を戻して、
友人に「結婚しないの?」っていう思いがけないストレートな問いを投げかけられて、一瞬思考が止まった私も、すぐに体制を整えて言葉を続けた。

えーとね、今年の5月に滞在許可証を延長したばかりなのよね。
また2年もらえたから、あと1年半くらいはあるの。
だから、それが切れる頃くらいには、何とかしようって言ってるんだけど、、、


3行目の言葉をほとんど聞かずに、友人が言葉を重ねた。

いや、そういう問題じゃないでしょう?!

心なしか彼女の顔が引きつっている、、、

そういう問題じゃない?
そうか、そういう問題じゃないんだ。
ええええ、、、、と、、、

私は、何となくポイントが噛み合っていないことを感じつつも、適当な言葉も見つからず、だたヘラヘラと笑っていた。


私はもちろん日本人だから、EU圏内で居住するにも就業するにも許可が必要。
これはトラちゃんが日本に来る場合も同じ。
両方が確実に両国で職(就業許可)を得られるのであれば、それに越したことはないけど、そんなことは誰も保証してはくれない。
つまり、二人が確実に一緒に居られることを保証するためには、結婚するのが一番手っ取り早い。
私にとって、結婚するっていうのは、そういう意味だ。


そんなことをボーっと考えていて、ふと思いついた。

いつの間にか、周りの考え方に染まってきているのかもしれない。

というのも、私の周りをざっと見回してみても、同居するパートナーや子供がいる人は多いけど、結婚しているケースは少ない。
彼らはみんな、ドイツ人同士、あるいはEUメンバー同士だから、結婚しなくてもEU圏内での就業も居住も自由だ。
だから、法的に結婚する必要性を感じていないのかもしれない。


いやしかし、振り返って考えてみると、私はもともと結婚願望というものが欠落していた。
そうだ、結婚願望が欠落していたからこそ、5年以上も付き合っていた当時の彼を置いて、ドイツまで来たんだ。
将来の生活の話なんかは、それでもたまにしてたくせに、
一年遊学するつもりでドイツへ来て、幸か不幸かたまたま見つけたマスターコースに進学することを勝手に決めた。
「2年は待てないよ」
って電話越しに言われて、頭をガンと殴られたようなショックを感じたくせに、一人の部屋に帰ってから涙が止まらなかったくせに、
だから日本に帰ろうとは思わなかった。

今思うと、なんて薄情なヤツなんだろう。


話がまたそれたけど、
その後に続いた友人の話には、少し考えさせられた。

実は、彼女の妹がヨーロッパ人と結婚している。
結婚する前から彼女の妹は彼の国へ行き、同居しながら準備を進めていたけど、
すべての必要な書類が集まり、法的に許可(!)が出る前に、なんと半年近くも待たされたらしい。
だから、そんな悠長なこと言っていたら、滞在許可が切れるまでに間に合わないかもしれないし、結婚する意志があるならとっとと嫁ってしまえ!ということらしかった。


なるほど。
それは一理あるかも。
そこで私も、インターネットという文明の利器を駆使して、少し情報を集めてみた。

なんの事は無い、ドイツ人と結婚したusagihuetteさんのブログ、その名も「ドイツ人と結婚しちまいました 」にあった結婚準備のリアルタイムレポートをざっと読んだだけだけど。
彼女のブログによると、日本で集めなければならない書類は、どうやら1ヶ月も見ておけば集まるらしい。

そして書類が集まった時点で、住んでいる地区管轄の役所(Standesamt)で申し込み。
その前に一度、Standesamtでミーティングをしなければならないようだ。
Standesamtに申し込んだら、「半年以内に式を挙げないと、結婚の申し込みは無効」と、役所のHPに書いてある。
その役所によって、混んでいたりもするんだろうけど、
逆に言えば、申し込み日からどんなに遅くとも半年以内には式の予約ができるってことだろう。

私が住んでいる町は、そりゃあ人気のある街だけど、
せいぜい人口20万人程度の街で結婚式まで半年も待たされるなんて考えられない。
第一、場合によっては、臨時の日程を開けてくれると、サイトにも書いてある。

ということは、どんぶり勘定でも3ヶ月も見ておけば 余裕♪ ということだ。


またしても友人から「だから、そうじゃなくって(怒)」という突っ込みが飛んで来そうだけど。


そもそも、結婚って、なんだろう?
結婚の経験のある人、特に国際結婚を経験している人、そしてこれから国際結婚しようとしている人に、是非、聞いてみたい。

あなたは、なぜ結婚したのですか?あなたにとって、結婚って、なんですか?


そうそう、これでもかっていうくらい書きつづけているけど、
住んでいる街のStandesamtのサイトを見ていたら、面白い情報を見つけた。

それは、結婚後の姓。

例えば、マリア・シュミット と ヨーゼフ・ミュラー が結婚したとする。
ドイツの法律にのっとれば、姓を決める時にいくつかのバリエーションがある:

1. 双方が、マリアの姓を使う。(マリア・シュミット と ヨーゼフ・シュミット
2. 双方が、ヨーゼフの姓を使う。(マリア・ミュラー と ヨーゼフ・ミュラー

ここまでは日本と一緒。

3. 双方が婚前の姓を引き続き使う。(マリア・シュミット と ヨーゼフ・ミュラー

夫婦別姓が認められてる。
結婚してないカップルが多いから、正式に法的に別姓が認められているっていうの、実は知らなかった。
私が驚いたのが次、

4. マリアはそのままで、ヨーゼフはマリアの姓と自分の姓をつなげて使う。(マリア・シュミット と ヨーゼフ・ミュラーシュミット、あるいはヨーゼフ・シュミットミュラー
5. マリアは自分の姓とヨーゼフの姓をつなげて使う。(マリア・シュミットミュラー、あるいはマリア・ミュラーシュミット と ヨーゼフ・ミュラー

すごい、民主的やねー。
カップルの片方だけがダブルの姓にするって言うのは、聞いたことなかった。
で、このサイトには例として上がっていなかったんだけど、夫婦両方がダブルの姓を使うのも、アリ、だよね、当然?!


私は、以前にも書いた気がするけど、トラちゃんの姓になることに、やっぱり少し抵抗を感じる。

ふと、ドイツ語の姓になることを想像してみる。

すると、
日本語の漢字の姓を失うことで、私の名前も漢字から離れてどんどん一人歩きしていくような、
私の存在自体が、漢字から離れてカタカナとアルファベットだけの世界に行ってしまって、変質してしまうような、
名前が地面から離れてドイツの上空をブラブラ浮いている、それに引っ張られて私自身も空中に浮かんでしまう、
なんかそんな変な感覚に陥る。


結婚しているのにパートナーと姓が違うって、なんか不都合があるんだろうか?